2012年10月4日木曜日

レジリエンス

「レジリエンス」(resilience)は、一般的に「復元力、回復力」などと訳される言葉です。

近年は特に「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力」という心理学的な意味で使われるケースが増えています。

さらにレジリエンスの概念は、個人から企業や行政などの組織・システムにいたるまで、社会のあらゆるレベルにおいて備えておくべきリスク対応能力・危機管理能力としても注目を集めています。

レジリエンスが強い人」とは、具体的にどういう人なのでしょうか?

これまでの研究では、以下の三つの共通する心理的特性が挙げられています。


(1) 肯定的な未来志向性・・・・・・ 未来に対して常に肯定的な期待を持っていること
(2) 感情の調整・・・・・・・・・・・・・・ 感情のコントロールが適切に行えること
(3) 興味・関心の多様性・・・・・・・興味・関心をさまざまな分野に向けていること

他にも、安定した家庭環境や親子関係があること、「自尊心や共感性」が育っていること、「ユーモアセンス」や「コミュニーション能力」があることなども「レジリエンス」が強い人の条件といわれています。
また興味深いことに、研究結果によると、過去の苦労体験の多さとレジリエンスの強さとの間には相関関係が見られません。「風雪を耐えてこそ、人は打たれ強くなる」と言いますが、必ずしもそうとは限らないようです。挫折から回復して、困難を生き抜くには、上記のような“意識”を持つことのほうが、過去の蓄積よりも効果が高いことが報告されています。
汗をかくことも大事ですが、ポジティブな意志の上に成り立つということです。