2011年10月4日火曜日

「自己実現」と「社会貢献」

3.11の東日本大震災後、仕事の内容に関して、「他人や社会への貢献」や「自己実現」といった部分が重視されるようになり、大きな変化が見えてきました。

これについては、震災後数カ月後に行った様々な調査結果からも明らかであり、高収入や昇進、出世などへの関心の低下と会い交える結果となっています。

例えば、JTBモチベーションズの5月中旬に1,000人を対象に行った調査「社会に貢献する仕事をしたい」という回答が、2010年12月の調査と比較して二倍以上に増えており、また役職が高いほどこうした意識は強いという結果が発表されました。

他の調査でも、仕事に対しするモチベーションの源泉として「社会や他人への貢献」を挙げた割合が以前の調査より約2.6倍、「仕事自体の面白さ」を挙げる人が1.5倍となっています。

「仕事観」や「働き方」についての考え方は、震災直後は「安全・安心」に大きく触れていましたが、その後この傾向は弱まりつつも、その中で「家族や家庭志向」「社会貢献志向」、社会に役に立つことの「自己実現」についての考え方が維持されているといえます。

この傾向については、どこまで維持されるかはわかりませんが、少なからず震災後の国民は「自分たちの働き方」について、考えるきっかけになった事は間違いありません。

これまでの多くの人が、何を求めて働くのかをきちんと考える事もなく、会社と仕事を選び、会社に入ってからも企業が提供する肩書や待遇を自らの目標だと定めて過ごしてきた事に対する、考え方の前提に疑問視させる結果なのだと感じます。

「心の中で薄々感じていた仕事観」が一挙に顕在化したのだと思います。

高度成長期やバブル期に大震災が起きていたら、ここまでの「人間の心の内側」を見つめあうような変化は見られなかったという意見もあります。

「自己実現」という極めて個人的な欲求が、カネのため、出世のためから「社会貢献」「家庭、家族」「他人」のために役立つ仕事をしたいという欲求への変化が、今、日本の社会でゆっくりと変化しているのだろうと感じます。

変化し始めた「自己実現」に関する考え方。

今後、働く場である企業もこのことを十分に受け止め、変化する社会に対応することが必要となるのでしょう。