2012年4月10日火曜日

排出枠で特損75億円

報道では、JFEホールディングスは1月に発表した2012年3月期第3四半期決算短信で、同社が入手した排出枠の評価損74億7900万円を計上したとあった。

この排出枠は、京都議定書の制度であるCDM(クリーン開発メカニズム)による排出量(CER)のことです。

同社は、一定額を超す評価損については計上する会計規則によって、今回特別損失として計上したわけです。

この報道、今後の排出権の取引に関するリスクとして警戒を投げかけているのですが...

そもそも、排出量取引制度のリスクとして、生産量が成長・拡大する過程での排出枠の購入は、自主行動計画目標値達成のための“コスト”であり、もし、経済が下降、後退した場合、生産量が減るなかで、購入した排出枠を余らせ、結果として排出枠資産が評価損を引き起こす結果になると懸念されていたことです。

まさに生産量も減り、排出枠資産が下がるという二重苦が現実に表に出たことになります。

産業界が懸念していた排出枠調達のリスク、地球温暖化問題の解決とのバランスがより取りづらい、難しい局面を迎えることとなり、制度の見直しや各企業の対応に注目が集まるところです。