2010年4月15日木曜日

不適正処分案件の処理に掛かる費用は?

環境省は先月末に、現在明らかになっている不法投棄などの不適正処分案件を処理する為に、官民で設置している「産業廃棄物適正処理推進基金」からの財政支が40憶円以上必要となるという試算を明らかにした。

基本、不適正処分を行った原因者が処理を行うことが原則であるが、大半のケースが原因者不明や原因者は判っていても処分を行う財源が無かったり、とうに倒産した企業だったりします。

その際に支援する基金が、産業から3分の2、国からの補助金が3分の1で構成されています。現状回復を必要とする案件について、実際に実施を行う都道府県の事業費の4分の3以内の金額で支援をするものです。

ということは、4分の1以上は、都道府県が負担するということです。

2009年3月末時点で、2675件、1726万トンの不適正処分が残存していると言います。

このうち、「実際に生活環境保全上の支障が生じている案件」は16件、「支障の恐れがある案件」は159件にも及ぶそうです。

その中で、基金からの支援を希望する案件は17件で、これらを処理するする為に必要な費用は、過去の実績から試算すると、約40憶円~約43憶円となるとのこと。

恐らく、横浜市が抱えている大規模な案件もこの中にはいるものもあるのでしょう。

不適正処分の温床とは、適正処理・適正料金がベースとなり、計画的かつ戦略的な法順守を念頭においた経営をなさない企業がまだまだ存在しているということです。

昨今の処理単価の下落は、今までの経験上、必ず不適正処分に繋がると我々業界は口を揃えて言います。

いつになったら、良者が報われ、悪者が罰せられる時代は来るのでしょうか?規制法に縛られる業界すべてに言える事ですが、法の網掛けの強化は大いに結構、しかし、バレない者が潤うのは、取り締まりの強化を本腰いれてやらないと、その時代は来るはずないと考えます。

廃棄物を出す側、それを委託される側のモラルの向上なんて生易しいものでは収まりつかないと考えます。

*掲載した数字については、「日経エコロジー」掲載記事より。