「莫妄想」(まくもうぞう)
「AかB」の発想をやめると、余計な比較をしなくなる。(出所:枡野俊明氏著「禅の言葉」)
生と死。
美しいか醜いか。
善か悪か。
豊かか貧しいか。
つい、人間は対立的に物事を捉えがちです。
物事を対立的に捉えることで、好き嫌いや善し悪しか生まれてきます。
「莫妄想」とは、こうした対立的な捉え方から抜け出しなさいという意味のようです。
まったく嫉妬心を抱いたことがないという人など、おそらくいないと思います。
では、人間はどうして他人に嫉妬するのか?
答えは簡単です。
それは、自分と他人を比較するからです。
何かにつけて他人と自分を比較するから、最終的に「幸せ比べ」をしてしまいます。
その結果、他人の幸せを素直に喜べないということになります。
しかし、人間というものは他人と自分を比較するのが本当に好きなのだと思います。
人は人、自分は自分。自分の人生は自分だけのもの。
他人のそれとはまったく別物なのです。
それを比較すると、心から友人の幸せを喜べなくなります。
それは、自身に還ってくることです。
他人や友人の幸せを自分の幸せと比べないことで、心から幸せを祝ってあげることができます。
肝心なのは、今、自分のいる環境の中で、一生懸命に生きることです。
自分にしか見えない幸福が、きっと見つかるはずです。